御茶義理の人のにっき

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ヴィンテージ

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2000/04/25
 「ヴィンテージ
 今日、ついにそのベールがあかされる。私の家に代々伝わる、ヴィンテージ。
 私は、ためらいながらもその化粧箱を見る。鮮血のような赤から、淡いピンクに変色したその箱は私に年の重さを十分に感じさせてくれた。
 箱を開けた、年を重ねた埃とちりのにおいが鼻を突く。
 その色を確認するため包装をはやる気持ちを抑えながら、1枚1枚破った。ベールが剥がされたその色が目に飛び込んだ瞬間、私は自分の目を疑った。
 琥珀色、私の大好きなVinhoVerdeのような色……。
 現在の物と違うブランド名の印刷がはっきりと確認できた。
 全身が描かれている現在の物とは違い、顔だけのそのラベルには威厳が感じられ使う者を選ぶ。そんな、伝説があるように感じられた。
 私はおもむろに香りを楽しんだ。ミルキーな本来の香りはあまりしない。独特の薬品臭い香りとヴィンテージにはかかせないカビの香りがその鼻を突いた
 私は本来の香りを見つけるため、かぎ続けた。本来の香りはどこに行ったのだろうか…?
 水の中に浸けた。普段はあまり洗わない物なのだが、私はその色に恐れをなし無性に洗いたくなったのだ。
 何分洗ったのだろう?気づいたときには、折角のラベルがこすれ無くなっていた。
 私は、再びその香りをかいだ。
 本来の香りより、かなり強い熟成された香りが安物の鼻を持つ私には辛く感じた。
 「ミルキーというより、練乳」そんな感じの臭い
 何度もためらう、今日だけで幾度ためらったのだろう。
 しかし、ヴィンテージをこのまま置いておくだけでは、今までのことが全く意味をなさない。
 意を決した私は布状の物の上に乗せた
 泡、普通の物と変わらない泡、しかし香りだけはやはり練乳……
 「これで、体を洗うの?」
 心の中で、自分に問いただす。なかなか、答えは見つからなかった。
 タオルを体に当て、手を洗った。
 練乳と固形の洗濯石鹸のような香りが、体中を覆った。
 我慢した…、ひたすら我慢……
 全てを洗い終わり、シャワーで体の泡を流し落とす。
 泡の落ちたその体からは、練乳の香りが漂う。
 いやぁ〜っ
 声に出して叫びたかった。
 湯船に浸かり、香りを押し殺しながら私を考えた
 香水の香りがする高級石鹸より、牛乳石鹸を好む私
 牛乳石鹸の中でも一番ノーマルな赤箱を好む私
 私にはヴィンテージという高級品が似合わなかった、そう自分の中で結論を出した
 心の中が軽くなる
 そして私は、部屋に普通の牛乳石鹸赤箱を取りに行った……
 風呂場には、半分ほどになった「COWブランド」が転がっていた
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 ムーノーさんはヴィンテージなんて使ったこと無いよね。今度あげるよ、高級ヴィンテージ5個(笑)

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